第6話 星占い

◆毎朝同じテレビ番組を観る。それは朝の情報番組の類であり、例えばちょっとしたニュースだとかグルメ情報だとか天気予報だとかを局アナや芸人、もしくはタレントが忙しそうにしゃべり続ける番組なのだけど、毎日、番組の終わりに星占いのコーナーがあって、その日の運勢がいい星座順に占いを紹介していて、どういうわけか僕はその結果を観てしまう。
 更にこれまたどういうわけか、その番組が終わりそうになるとチャンネルが変わって、また別の似たような番組で伝えられるその日の星占いの結果を、これまた前の番組と同じように僕は観てしまう。
 どうしてそんなふうになるのかと言うと、嫁さんがそういうことを朝の日課としているからだ。
 嫁さんは、いや世間の女性というのは、どうやら星占いがけっこう好きなようだ。いや好きというよりも話のネタというようなレベルで観てしまうのだろう。そしてその結果が良かろうが悪かろうが、ほぼ気にしないように僕には見える。だったら別に観なくてもいいんじゃないかと思うんだけど、それらを観ることが朝の行動の一つになっているみたいで、二つとも観なければ朝のリズムが崩れてしまって何だか気持ちが悪いらしい。確かにその気持ちは僕にもわからないでもない。

 僕がどうしてこんなことを書くのかと言うと、僕はこういういい加減な占いが嫌いだからだ。特にこういった朝の情報番組で紹介される占いの類は好きになれないし観たいとも思わない。できるなら観ずに、その存在さえも意識したくない。

 なぜか?

 答えは簡単だ。
 そんな占いが当たった試しが今までに一度としてないからだ。だからこの手の番組で流れる占いの結果にいつも思ってしまうのだ。
「いい加減なことばっかり言いやがって!」

 だったらそんな星占いを嫁さんに付き合って観るようなことをしなければいいではないかと言われそうだが、確かにそうなのだ。観なければいいのだ。
 しかし観てしまう。どうしても観てしまう。

 諸々の都合上、その時刻に朝食を摂らざるを得ないから、テレビの画面を観なくともテレビからの音声が耳に入ってくるのだ。今日の最下位はXX座で、やることなすこと裏目に出るだの、下手に動かずにじっとしておきましょうだの、余計なお節介だと言いたくなるようなことを公共の電波を使って好き勝手にズケズケと喋る、その音が嫌でも聞こえてくるのである。
 そんな時は他のチャンネルに回したいという気持ちがMAXレベルにまでなるのだが前述したとおり、嫁さんの朝のリズムを狂わせないために辛抱するしかない。
 じゃあ逆に自分の星座が今日の一位だった時は気分が良くなるのではないかと言われそうだが、その場合も同じだ。当たった試しがないからそういう場合も「無責任にいい加減な思い付きで好き勝手なことを言いやがって!」となるのだ。つまり星占いの結果が良くても悪くてもそれは「他人が出したいい加減な思い付き」としか取れないから拒絶という態度しか取れないのである。しかも同じ星占いのくせに番組によってその日の占い結果がまったく違うということが多々あるものだから余計に「いい加減な思い付き」という位置を確固たるものにしてしまうのだ。
 この辺りを業界関係者たちは、どう思っているのだろうか?
 もし身近にそういう人がいたら訊いてみたいものなのだけど残念ながら僕の周りには星占いはもちろんのこと、他の占いに関わっている人もいないので知る術がない。残念だ。
 ただ、もし身近にそういう人がいたとして、僕が真剣に「どうなってんの?」と訊いたら、きっと引かれるのだろう。もしくは、たかが星占いにそんなに躍起になりなさんなと、いなされるんだろう。おそらく世間一般にとっては、とんでもなくどうでもいいことなんだろう。それは僕にだってわかる。占いなんてどんなものにせよ「当たるも八卦、当たらぬも八卦」であって気にする方がバカなのだ。
 でもそれでも何だか少し腹が立つ。前述したような「同じ星占いなのに結果がまったく違う」という日は特に腹立たしい。ということは、やっぱり「観ないに限る」ということで、そうするための対策を考えるべきってことかな?

 ちなみに昨日は、どちらの番組の星占いも僕が属する星座は最下位ということで一致していた。珍しいことがあるものだと思ったが、もちろんだからと言ってその日、僕に「不幸」や「不運」と思えるような出来事は一切起こることなく、いたって普通の日であった。つまり占いは大きくハズレたということだ。
 更に何と今朝の星占いでは、どちらの番組の星占いも僕が属する星座は第一位ということで一致していた。二日続けて一致するなんて僕が知る限りでは初めてのことではなかろうか?
 それでも、だからと言って当たるとは思えない。昨日同様おそらくハズレるだろう。そして「やっぱりいい加減な思い付きだったんだ!」と憤りつつ、そこに実はちょっと期待していたという自分を見つけるのだろう。
 つまり僕は、単なる我儘なオッサンなのである。
 
 
 
【2017年2月17日金曜日 記す】

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