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【書評】第156回直木賞 恩田陸著「蜜蜂と遠雷」読みました。ハッキリ言って面白い!

「蜜蜂と遠雷」
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こんにちは。ネオです。

最近は本が売れないそうですね。電子書籍・YouTubeなどの動画があふれる世の中になったので、雑誌などが売れないのも納得ですが、わたしは小説については「紙」の本で死ぬまで読むつもりです。

さて、今回の記事は「書評」です。
読んだには、第156回直木賞 恩田陸著「蜜蜂と遠雷」で、ここで最初にお伝えしますが…

このエントリーは長くなると思いますので、長文が苦手な方には向いていません。筆者の力量ではこの作品をさくっと1,000字程度に纏めるのは無理です。また多少ネタばれが入ります。ただこの作品は多少のネタばれで面白くなくなるような、薄っぺらな作品でないことは書き添えておきますね。

◆恩田陸さん

恩田 陸(おんだ りく、本名: 熊谷 奈苗(くまがい ななえ)1964年10月25日 – )は、日本の小説家。青森県青森市生まれ、宮城県仙台市出身。

2004年 – 2005年 – 第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞(『夜のピクニック』)

2006年第59回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)(『ユージニア』)

2007年 – 第20回山本周五郎賞(『中庭の出来事』)

2017年 – 第156回直木三十五賞(『蜜蜂と遠雷』)

生命保険会社のOLとして働いたが、2年後に過重労働で入院。復帰後に酒見賢一の『後宮小説』を読み、その才能と、いつか遠い先に作家になれたらと思っていたが、作者の年齢が1歳上であまり違わず、ショックを受け、勤務しつつ半年後に作家活動を開始した。その後も忙しく、本が読めないのが主な不満で、入社後4年で退職した。
1991年(平成3年)、退職後に書き終えた『六番目の小夜子』が第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となり、翌1992年(平成4年)の刊行をもって作家デビューを果たした。

 

ウィキペディア – Wikipedia

この本の帯にこう書いてあります。

「蜜蜂と遠雷」

「ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説」

まだ読む前の勝手な印象は、音楽ものでしかもピアノ…ぱらぱらめくります。

飛び込んで来る文字には、バッハ「平均律クラヴィーア曲集第一巻第一番ハ長調」とかラフマニノフ「絵画的練習曲音の絵Op.39-5アパッショナート変ホ短調」とかです。

「あ~ちょっと無理かな?」ピアノでしかもクラシック…

わたしと一番遠い世界の話で、買って失敗しのかな。

しかも、これ大作!正直、本屋に見に行って吟味していれば買っていません。

読みもしないで食わず嫌い爆発ですね(笑)

でも、わたしツキがありました。これ芥川賞の「しんせかい」と一緒にアマゾンで深く考えないでポチッ!と買っただけですが、おかげでめぐり逢えた…

◆第156回直木賞 恩田陸著「蜜蜂と遠雷」

「蜜蜂と遠雷」の外見 「蜜蜂と遠雷」の外見

見てください。「しんせかい」より2倍以上の厚みで、しかも文字も小さいんです。

わたしは「へなちょこブロガー」ですが、一応書いている身ですから文字数へのシンパシー強めです。

ピアノ音楽、しかもクラシック、この世のものとは思えぬ文字数…再び

「あ~無理。挫折するに決まっている」

しかし、自称「読書家!」トライする前に放棄はできぬ…

で、読み始めたらもうね…

踏み込んだらその世界感から抜け出せない!50代男、久々の徹夜読了です。

いや~徹夜はいつ以来かな~朝の4時半ごろ読了しました…もうね、止められなかった。5時頃に寝たと言うより落ちました(苦笑い)。

この作品、クラッシックとかまったく知らなくてもぜんぜん問題なく楽しめますので安心して読んでくださいね。

◆第156回直木賞 恩田陸著「蜜蜂と遠雷」の中心登場人物は4人

ピアノのイメージ
PexelsによるPixabayからの画像

美枝子はあるコンクールの地方選考をしていた。その国際的コンクールは日本で行われるが、美枝子の担当はパリだ。しかも書類選考で落ちた者たちの審査。このコンクールでは書類選考では分からない才能の取りこぼしを無くす為に行っていた。

退屈な選考だった。やはり書類選考で落ちた者にそんなに注目に値する者はめったにいないのだ。と思っていた。彼が来るまで…

カザマ ジン、後で分かることだが養蜂家の息子で各地を転々として生活をしている。ピアノは家にない。これはクラシックを目指す者にとってはありえない境遇だ。

美枝子は選考書類に目を通したが、コンクール暦が一度もなくまったく情報のない男の子だった。通常まったく気に留める対象にならない筈が、書類の一文だけで審査員3人を固まらせた。

ユウジ・フォン=ホフマンに5歳より師事

ありえない!すでに亡くなっているとは言え世界の音楽家の憧れ、弟子を取らないことで有名なホフマンの弟子?ありえない!

美枝子は強く否定した、その演奏を聴くまでは。

ピアノのイメージ
cocoparisienneによるPixabayからの画像

栄伝亜夜(えいでんあや)は天才少女と呼ばれていた。風・雨など全ての世界にある音を絶対音感で感じ取り、音楽として表現出来た。母を喜ばせるためにピアノを弾いていた。結果としてコンクールで優勝をさらいコンサートをひらくまでになっていたが、突然母の死が彼女を襲う。彼女は逃げ出した。表舞台から消えた。

幾年か月日がすぎ、彼女の元に昔の母の友人だと言う男が現れてこう言った。ピアノを弾いて聞かせてくれないか?彼女は逃げ出した後も音楽と離れてはいなかった。プロではなく趣味に近い形で関わり、それで満足していた。

男は音大時代の母と同期だったと言う。亜夜は逃げ出してから人前でピアノを弾いていない。でも何故かこの男のには弾いても良いと思った。曲はショスタコーヴィチのソナタ…曲を聞く男の顔色が見る見る変わっていく。聞き終わると男は言った。

「ぜひ、うちの大学をうけてもらえないでしょうか?」と。

ピアノのイメージ
Martyn CookによるPixabayからの画像

高島 明石(たかしま あかし)は普通の夫でありパパだ。今はと付け加えておこう。

28歳、コンクール規定ぎりぎりでの出場をはたす。普通の生活者の音楽があってもいいじゃないか?業界の一部の人たちが持つ「ゆがんだ選民思想」に違和感を抱いているのだ。おそらくこのコンクールが最後になる。息子にお父さんは本当に音楽家を目指していたんだよと証拠を残しておきたい明石はテレビ取材をOKするのだが…

ピアノのイメージ
Steve BuissinneによるPixabayからの画像

マサル・C・レヴィ・アナトールは名門ジュリアード音楽院の学生だ。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目されていた。実は彼の音楽の原点は幼少のころ居た日本にあった。幼馴染の女の子が、音楽の先生のところに連れて行ってくれたのだ。別に生徒としてではないのに、その先生はマサルを受け入れまた才能を見出した。

この幼馴染とコンクールで何年もの月日を隔てて逢う事となるとは今は知らない。

※中心人物4人をネオなりの見方で紹介させて頂きました。

物語は、この4人を中心に世界中から才能の塊が集まるコンクールを舞台に繰り広げられます。この4人にはそれぞれ大切な人がいて、またその人同士が音楽を通じてつながっており、コンクールが進むにつれその人間模様も一つの小説に出来るのではないかと思うほどのレベルで展開されていきます。

コンクールは1次~3次+本選の流れで進むのですが、途中多くの演奏シーンに文字数がさかれています。まずおしょぶ~がそうなのですが、クラシックはぜんぜん縁がありません^^;でもこの恩田さんの音楽のその一つ一つの曲の表現がすばらしく、すーと引き込まれていきます。

曲の説明を自然を通じて表現しているのですが、感性の強い方はその説明を読むだけで、物語と関係なく涙するでしょう。

※ウィキペディアには彼女の作風をこのように書かれています。

郷愁を誘う情景描写に巧みで「ノスタルジアの魔術師」と称される。ファンタジーの賞からデビューしたが、ジャンルの枠にとらわれず、SF、ミステリー、またはクロスジャンルの作品と、幅広く執筆している。

ウィキペディア – Wikipedia

ノスタルジアの魔術師が、クラシックの名曲をどの様に表現するか読んでみたくないですか?

この4人の物語は、それぞれに完結して行くわけですが、4人の物語全てまだ先が開かれて行く完結なのです。コンクールと周りの人により短期間に4人が人間として音楽家としてみる見る成長して行きます。

わたしはクラシックはからきしですが、音楽っていいな~人っていいな~と改めて再確認させてくれた作品です。

これ以上の言及はヤボでしょう。ぜひご自分の目でお確かめ下さい。
では、またお会いしましょう。by ネオ